砂がすべてを覆い尽くす世界。砂の海に浮かぶ巨大な漂泊船“泥クジラ”では、感情を発動源とする超能力“情念動(サイミア)”を持つ「印(シルシ)」と呼ばれる人々と、能力を持たない「無印(むいん)」と呼ばれる人々が共に暮らしていた。泥クジラの住人は九割が印であり、彼らは皆一様に30歳前後で寿命を迎える短命であった。(自警団団長のシュアンは24歳。印の中では高年齢だが、サイミアの力はオウニと肩を並べて強い。)
「外界から閉ざされた“泥クジラ”で短い一生を終える」
その運命を受け入れる印(シルシ)の少年・チャクロは、ある日突然砂の海に漂着した廃墟船の中で1人の少女・リコスと出会う。チャクロはリコスを泥クジラに迎え入れ、泥クジラで共に暮らさないかと持ちかけるが、直後に「外の世界」から一方的な襲撃を受けた。辛くもこれを退けた後、リコスから襲撃者は彼女の故国「帝国」の軍隊であることが知らされる。
一方泥クジラの新首長となった無印の青年・スオウは、指導者組織である「長老会」から、帝国は泥クジラの住人の祖の故郷であり、泥クジラの人々が流刑囚の末裔であることを聞かされる。長老会は泥クジラを砂の海に沈めて罪を清算しようとするが、スオウはこれに異を唱え、チャクロ達泥クジラの若い民や帝国を離脱したリコスの協力を得て抗戦の道を選ぶ。帝国との再戦の末、泥クジラは帝国の手がおよばない新天地を目指し砂の海の果てへと舵を切った。
第3勢力「スィデラシア連合王国」に属するアモンロギア公領の青年貴族・ロハリト一党を仲間として迎え入れた矢先、チャクロらは印の短命の原因が泥クジラが擁する魂形(ヌース)・ファレナにあり、ファレナが命を吸うために印は短命になるという真実を知る。スオウを始めとする無印の人々はあまりにも残酷なこの事実を秘すると共に、自らをかけて印を守ってゆく「無印の誓い」を立てる。やがて泥クジラはアモンロギアに辿り着き定住の交渉に臨んだが、交渉は決裂し、無印達は人質として囚われてしまう。事態を知ったチャクロ達印は無印を救出するため、一時泥クジラを離れアモンロギア領内へと侵入する。
A boy named Chakuro lives on the giant vessel Mud Whale that drifts over the sea of sand. Chakuro and his friends have never seen anyone from the outside world, and they spend their days yearning to explore and learn about it. One day, a ruined ship suddenly drifts ashore, and Chakuro meets a girl inside.